| 前のおねえちゃん | |
「タマゴ混ぜた?」 「う〜ん、もうちょっと〜」 「そう。急いで欲しいけど、丁寧にやってね。 ……とびきりおいしいの作るんだから」 「うん〜」 おねえちゃん忘れてるっ! その10 おねえちゃんが 弁当作りを 忘れてるっ! 「……んしょ、んしょ……」 「ねえモモちゃん?」 「なに? わたしは今このりんごをかわいいうさぎにするのに忙しいの。 微妙な力加減が必要で指を7回も切ったのよ?」 「血染めのうさぎさんだ〜」 「うさぎは目が赤いからちょうどいいのよっ! ……で、なによ?」 「なんで急にお弁当つくるなんてことになったの〜?」 「それはね、おねえちゃん……」 「うん」 「美容と経済のためよ」 「え〜?」 「父さんと母さんが留守がちだから、わたしたち朝晩はごはんつくるけど、 昼はめんどくさいから学食じゃない? 育ち盛りの女の子がそんなことじゃいけないと思うのよ」 「育ち盛りってぇ……どんなにがんばってもモモちゃんの胸は それ以上大きくならないと思うよ〜?」 「おねえちゃん……お願いだからわたしを怒らせないで。 朝から血圧上げたくないし、この包丁を料理以外に 使いたくないの……!」 「ごっ……ごめんなさい〜」 「まったく……話を続けるわ。学食は安いけど、その分質が落ちるわ。 栄養バランスよくおいしくて、しかも安く済ます。 そのためにはやっぱり自分たちで作るしかないわけよ。 だから、これは美容と経済のため。おわかり?」 「そのために指切ってまでりんごのうさぎさん作ってるの〜?」 「そうよ」 「そのためにそぼろをハート形にごはんの上にかけてるの〜?」 「……そうよ」 「ニンジンをハート形に切ってあるのも美容のため?」 「あ、あたりまえでしょっ」 「こんなに気合い入れて作ってるのも……」 「もちろん食費を安く上げるためよっ!」 「………」 「………」 「ねえ、モモちゃん?」 「な、なによ?」 「おねえちゃん思うんだけどね」 「………」 「モモちゃんは世界一かわいい妹だと思うの〜」 「わわわっ!? なにいきなり後ろから抱きしめてきてるのよっ!? こーされるとおねえちゃんの柔らかいのが当たってむかつくのよっ! 大きすぎるのが嫌なのよっ! なんでそんなでかいのふたつもあるのよっ!」 「ほれほれ、ういヤツじゃ〜」 「ほおずりするなあっ! どうしておねえちゃんはどこもかしこもプニプニしてるのーっ!?」 「うふふ〜、誰にあげるの〜? ラブラブお弁当、どこの誰にあげるの〜?」 「そんなんじゃないわよっ!」 「ウソつくとこのままパンツ脱がしちゃうわよ〜」 「この体勢からできるわけないでしょっ! やれるものならやってみなさいよっ!」 「じゃあ手始めにブラを抜き取ってみました〜」 「え? え? うわホントに取られてるっ!? いつの間にどうやってっ!?」 「ブ〜ラブ〜ラブラ〜♪」 「頭にかぶらないでよっ!! ……わかった! 言うから返してよっ!」 「うん。じゃ、返す」 「まったく……」 「それで、誰に渡すの〜?」 「……隣のクラスの山ヶ崎くん……」 「へええ、そうなんだ〜」 「わ、わたしおねえちゃんみたいに勉強もスポーツもできないし、 プロポーションだって、その……あんまりよくないし。 なにかきっかけ作ろうと思って、それで……」 「まじめなこと言うと、よく知らない女の子からいきなりもらった お弁当なんて気持ち悪くて食べないと思うよ?」 「うわ! うわ! うわ! いきなり恋する乙女の不安な心を 粉みじんに砕くこと言ったわね!? 言ったわねっ!?」 「モモちゃんマジ切れ……」 「あたりまえでしょっ! おねえちゃん言っていいことと悪いことが…… でも、そうかな? やっぱりそう、なのかな…… 受け取ってもらえないかな」 「モモちゃん本気なんだね」 「あ、あたりまえでしょっ……」 「それだけ一生懸命なら大丈夫。きっと、気持ち伝わるよ」 「え?」 「いじわる言っちゃってごめんね。 モモちゃんがどれだけ一生懸命だったか知りたかったの。 それでよく分かった。モモちゃん一生懸命。だから、大丈夫」 「なにが大丈夫だって言うのよ……?」 「恋する乙女は絶対無敵なんだよ。だから、大丈夫」 「理屈になってないわよ……」 「それにね、さっき言ったでしょ? モモちゃんは世界一かわいい妹なの」 「お、おだてないでよ。わたし全然かわいくなんて」 「ウソなんか言ってないよ。モモちゃんの大きな瞳も黒くて綺麗な髪も、 すらっとしたプロポーションも、みんなみんなかわいいの。 モモちゃんは全身かわいいものだけで出来てるの。 だからモモちゃんは世界一かわいい妹」 「ぜ、全身って……あ、おねえちゃんっ!?」 「な、なに?」 「弁当づくりに気がいってて今さら気がついたけど…… なんでパジャマの上しか着てないの?」 「パジャマのズボンってキュウクツだから……」 「だからってなんで……なんにもはいてないの?」 「朝はセクシーなおねえちゃんでいたいの」 「理由になってないわよっ!」 「なによ、モモちゃんこそノーブラじゃないっ!」 「それはおねえちゃんのせいでしょっ!? まったく、おねえちゃんと話してるとほんっと バカバカしくなってくるわっ……」 「モモちゃん、いつもの調子になったね」 「ふん……そうね。悩んでも仕方ないわ。どうだって好きな気持ちに変わりはないんだし、 お弁当渡したいのも本当。だったらがんばるしかないわ」 「うん、そうだよモモちゃん!」 「それはいいけどさ、おねえちゃん……」 「ん〜?」 「いまはお弁当作りでじかんないけど…… あとで、ちゃんとぱんつはこうね」 「うん。気が向いたら」 「〜〜〜〜〜っ! ええい、いまはとにかく弁当! おねえちゃんにはあとでむりやりにでもはかせればいいわっ!」 「ももちゃんひどい〜 ……ノーブラは気にならないのかなあ?」 ・ ・ ・ 「あ、ももちゃんおかえり〜」 「………」 「どう、お弁当渡せた〜?」 「………」 「? どうしたの、モモちゃ……」 「おねえちゃん……男の子ってパンツはいてない女の子の方が いいのかな……?」 「モモちゃん……?」 「さわらないでっ!」 「!?」 「おねえちゃんなんて……だいっきらいっ!」 「え? え?」 「おねえちゃんのばかーっ!」 「あ! どこに行くのモモちゃん! モモちゃーんっ!?」 続く |
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