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は〜とふるらぶこめでぃ
ほのぼのこがらちゃん

その6
〜笹と炎と〜




「七夕〜っ
 ルルルたんざく〜っ」
「……豊胸?」
「今年こそは願いを叶えてねっ。
 彦星様、織姫様っ」
「……ブラをつける必然性を下さい?」
「星に願いをかけるなんてロマンチックよねぇ……」
「東京タワーより………背が高くなりますように……?」
「一年に一度の逢瀬っ!
 銀河を分かつ大河を舞台に繰り広げられる壮大なラブロマンスっ!!」
「童顔を卒業させてください、か……」
「ああっ、なんだかあこがれちゃうわねぇ………」
「セクシーダイナマイツプリーズ? うあっ……」
「今年は晴れたし、きっと二人は会える………
 そしてあたしの積年の願いも叶うのよっ」
「痛い……あまりにも痛くて、そして悲しすぎる………」
「………さっきから何してるの?」
「短冊を読んでる」
「勝手に人の願い事を読み上げるなあっ!!」

「がはぁっ!!」

「ったく………だいたいあんたいつの間に人ん家の庭入ったのよっ?」
「家の中に入ったら中に誰もいないかった。
 庭から声が聞こえたんで、靴を玄関から回収。その後出窓から出てきた。
 約5分前の出来事だ」
「あんたねぇ………」
「俺はただお前との距離と縮めたいだけだ」
「またそんな歯の浮く寝言でごまかすぅ」
「まあ立ち話も何だ。まずは座ろう。
 ほら、隣。ここ、ここ」
「とことん図々しいわねぇ………。
 でもこういう状況にだんだん慣れてきてる自分が怖いわ。
 って……ん?」
「どうした?」
「座ったらなんか変な感触が……?」
「フッ」
「!?
 なんであたしあんたの膝の上に座ってるのよっ!?」
「クックックッ」
「た、確かに隣に座ろうとしたはずなのに………。
 何? 何したの?」
「……簡単なことだ。
 お前が座ろうとした瞬間。
 その刹那、お前の下に体を滑り込ませたのだ」
「あっ……あの一瞬でっ?
 このあたしに気配も感じさせずに!?」
「このために特訓したからなあ」
「相変わらず馬鹿ねぇ……。
 ってこらっ! なに腕まわしてるのよっ!!」
「だってこうしないと逃げるだろう?」
「そんなことしても逃げるっ!! にぃげぇるぅっ!!
 !……!!
 ふ、ふりほどけないっ!?」
「このためにも特訓したからなあ」
「あんたって………」
「ほら、見てごらん。
 星が本当に綺麗だ………」
「こんな状況でくつろげるわけないでしょっ!!
 でも………本当に綺麗ね」
「昔の人はこの星空に物語を想い、夢を描き、そして願いをかけたんだな」
「何よ、急に………。
 願いと言えば、あんたさっき人の願い事にさんざん文句言ってわね。
 そういう自分はどうなのよ?
 どうせろくでもないことでも書いて笹につるすんでしょ?」
「そんなことはしない」
「?」
「俺の願い事はもう叶ったからな」
「どんな願い事よ」
「今みたいに………こうして、お前と二人でいることだ」
「!」
「これ以上望むことはない」
「あ、ああああんたねぇ、どうしてそうポンポン恥ずかしいことが言えるのよ?
 いつも『好きだ』とか簡単に言っちゃってさっ。
 だいたい言葉に重みってものが感じられないわよ。
 そういうことで私のことからかおうなんて最低ねっ!」
「………」
「急に黙っちゃったわね。
 ひょっとして図星?」
「………そう思うか?」
「え?」
「本当に……そう思うのか?」
「な、なによ、急にまじめな声出しちゃって」
「なあ、分からないか?
 本当に伝わらないか?
 分かるだろう? 背中から、俺の鼓動が伝わるだろう?」
「!」
「こんなにドキドキしてるんだ。
 いつもいつも、こんなに……こんなにっ………!
 お前と一緒にいるだけで、お前と話すだけでこんなになるんだ。
 本当に幸せで、ただ一緒にいるだけでどうしようもないくらい幸せで……。
 その気持ちをかたちにしたい、伝えたいんだ。
 そのために、いつも、俺はっ………!」
「………」
「そのための言葉が、そのための行動が、本気じゃないと思うのか?
 俺の気持ちも、この鼓動も、みんな嘘だって言うのか?」
「あ、あの………」
「お前の髪も目も口も………」
「あっ………」
「長い髪も小柄なところも、みんな好きだ。
 みんなみんな好きなんだっ………!」
「そ………そんなに強く、抱きしめないでっ………」
「あ、ああ。すまない」
「………」
「………」
「……でも、わたしは……」
「?」
「もっと背が高くなりたい。
 胸だってもっと大きい方がいい。
 もっと……もっと綺麗になりたいっ………」
「俺は、今のこがらが好きだよ」
「本当は、あたしより胸の大きな女の子がいいじゃないの?
 本当は、あなたに釣り合う背の女の子がいいんじゃ………」
「俺は………」
「………」
「俺は、こうして膝に乗せて、腕を回せば全てを包み込める………そんなお前が大好きなんだ」
「………」
「こうしているの、嫌か?」
「………」
「俺といるのは………嫌か?」
「………そんなこと………ない………」
「じゃあ、あんな願い事はもういいよな?」
「えっ?」
「もう、あんな願い事は要らないよな?」
「…………うん」
「じゃ、燃そう」
「ええっ?」

「ファイアっ!!」
「わあっ!!
 笹がっ! 短冊がっ! 燃えるっ!!」
「こんな事もあろうかと仕掛けておいて良かった。
 むかつく言葉が山盛りだったしな」
「あああああああああああああああ」
「さあ、こがら………。
 この篝火を前に、七夕の星空を見よう……」
「うああああああああっ!!」
「わわっ、こがらっ!!
 ………ば、馬鹿なっ! 振りほどかれたっ!?」
「燃えるっ! 
 わたしの夢がっ! 
 わたしの希望がっ!! 
 わたしの悲願があっ!!!」
「ひ、悲願とまで言うか……?」
「みんな燃えちゃう………」
「……あの、こがらさん……?」
「あたし、もういい」
「え?」
「思えば、多くを願いすぎたんだわ………。
 そんないい加減な事じゃ、叶う願いも叶わない」
「………」
「願い事は、ひとつでいい」
「そ、そうか。それで願い事って?」
「………途中で死なないで」
「はい?」
「心ゆくまで殴りたいから………。
 途中で死なないでっ………!」
「はいいい?」
「いっ! くっ! わっ! よーっ!!」
「う………うっわあああああああぁぁぁぁぁっ!!!」


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